顕彰事業

(2008年)
第51回 十大新製品賞 本賞

新製品技術

全身用X線CT診断装置 Aquilion ONE (東芝メディカルシステムズ)

 世界で初めて320列のX線検出器素子を搭載したコンピューター断層撮影装置(CT)。1回転で心臓や脳などの臓器全体を撮影できる。連続撮影した画像を時系列に並べることで動画を構成し、臓器の動態や血流状態を立体的に観察できるようにし、CTの可能性を広げた。

 98年に米ゼネラル・エレクトリック(GE)が4列の検出器を持つ製品を発売したことを皮切りに、医療機器メーカーは8、16、32、64列と検出器の多列化を競い合ってきた。同社はこれまでの最上位機種の5倍となる320列、体軸方向160ミリメートルの撮影領域を他社に先駆けて実現した。

 1回転0・35秒で撮影が終了するため、撮影中の息止めや体動抑制による患者の負担が軽減。小児や重篤な患者も鮮明な画像が得られる。心臓検査の場合、X線照射による被ばく量を従来の最上位機種の4分の1程度まで低減できる。撮影時間が短いため、造影剤の使用量を抑えられる。

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