顕彰事業

(2009年)
第52回 十大新製品賞 増田賞

新製品技術

新型二次電池 SCiB (東芝)

 負極材にチタン酸リチウムを採用、電池内部の温度上昇を抑え、熱暴走を起こしにくい構造にした。安全性のほか長寿命も大きな特徴。約6,000回の充放電を繰り返しても、当初容量の80%超を維持する。従来のリチウムイオン電池の場合、1,000回程度で容量が大幅に下がってしまう。1日1回放電したと仮定しても、15年以上の寿命で電池交換を必要としない設計ができる。

 さらに大容量で急速充電も可能な点は、自動車分野でも大きな魅力。実効容量が大きいため、セルの個数が増えても全体の容積や重量は小さくてすむ。充電時間は約5分間。これらの技術が評価され、ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)と次世代電気自動車の開発で提携した。電池はエコカーの性能を決定付けるだけに、既存のニッケル水素電池からの置き換えが期待できる。また、電気を効率良く貯められるため、非常用電源ほか、風力、太陽光発電の制御にも向く。

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