顕彰事業

(2012年)
第55回 十大新製品賞 日本力(にっぽんぶらんど)賞

新製品技術

WANアクセラレータ GX1000 (株式会社 日立製作所)

WANの課題を解決、日米間通信、約50倍

 広域情報通信網(WAN)の根本的な課題を解決した製品だ。WANの現状の通信方式「TCP」は、通信拠点間の距離が離れるほど速度が低下する。同製品はTCPの一部分を改善したことで、世界中のどこでも設計データや画像データを遅延無くやりとりできる。日米間の通信では従来比約50倍、日本と南米間の通信では約100倍の高速化を実現した。

 TCPでは通常、パケットが送信先に届いたことを確認してから次の信号を送信する。それが通信速度を遅らせる原因だったが、同製品は確認を待たずに次の信号を送る方式を開発した。また、パケット廃棄率とその変化を測定し、WAN回線の空き帯域をリアルタイムに測定してデータ通信量を最適化するため、空き帯域を最大限活用して高速通信できる。

 既存の通信システムに影響を与えずに高速化できるため、企業が現在使用するシステム環境を変更する必要がない。導入時のインフラ変更が発生しないため、費用を抑えられる。

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