顕彰事業

(2007年)
第50回 十大新製品賞 本賞

新製品技術

超大型プラスチック成形用金型材 CENA1α (日立金属)

 プラズマディスプレー(PDP)テレビや液晶テレビなど、大画面薄型テレビを陰で支える裏方製品。樹脂に継ぎ目を残さず、表面も鏡面のようにきれいに仕上げる「ウェルドレス成形」に対応した金型用鋼材だ。画面サイズ40インチ超で幅広の外枠樹脂に使える金型材は現在、この「CENA1α(セナワン・アルファ)」しかないとされる。

 その秘密は削りやすさ(加工性)とさびにくさ(耐腐食性)を両立させた技術にある。ウェルドレス成形は、樹脂を水と蒸気によって熱したり冷やしたりを繰り返すが、その水分で金型がさびてしまうと、微妙な温度調整ができず、きれいに成形することができない。だが、逆に耐腐食性を上げると加工性が落ちるという欠点があった。

 日立金属では鋼材の組成と結晶組織を見直し、添加する合金元素の微調整を徹底することで、この欠点を克服。また、コンピューターシミュレーションで元素同士の結合度を上げ、さらに熱処理によって強度を向上。画面が50、60インチに大型化しても、金型が壊れない特性を実現した。

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