セミナー

プラスチック製品設計のための
金型・射出成形・樹脂の基礎知識&不具合事例で学ぶ設計の落とし穴と解決策

開催主旨

樹脂部品の設計は、設計者にとって厄介なものです。なぜなら欲しい部品形状を図面に描いただけでは、その通りにはなってくれないからです。樹脂部品の設計では、①形状を付与する「金型」の知識、②部品を加工する「射出成形」の知識、③素材となる「樹脂」の知識が不可欠であり、さらにこれら3本柱となる知識をバランスさせる設計が重要です。

設計を始めたばかりの頃は、上司や先輩から図面のダメ出しをされながらも何とか樹脂部品の設計をすることはできます。簡単な樹脂部品の設計であれば、基本に従いながら次第に一人で設計できるようになります。

しかし、ある程度設計に慣れてくると想定していなかった不具合に遭遇することがあります。設計段階では気づかなかった落とし穴にはまってしまい、「狙った品質が出ない」、「目標コストの未達成」、「納期の遅延」などへと発展し、最終的にお客様へ迷惑をかけてしまう事態となりかねません。これらは「樹脂部品設計の盲点」がもたらした事態なのですが、表面的な設計知識だけでは盲点に気づきにくいのです。

そこで本セミナーでは、3本柱(金型、射出成形、樹脂)の要となる基礎知識の理解の上に、樹脂部品(射出成形品)設計に特有の不具合事例について「原因追跡」や「問題解決の進め方」、「対策のあり方」などを掘り下げて解説いたします。樹脂部品設計を始めたばかりの方でありましても、3本柱の基礎知識を最初に説明いたしますので、不具合事例の理解へと進みやすくなります。不具合事例の掘り下げは、5つのステップで展開いたします。

1.何が起きた?(不具合の把握「現場」「現物」「現実」)
2.何が問題か?(「問題」=設計意図とのギャップ)
3.なぜ問題に?(「原因」と見逃した「原理」「原則」)
4.どうするか?(問題解決のための「対策」)
5.見逃さない!(盲点に「気づく力」を鍛える)

また、昨今、技術の進歩は早く、市場の技術動向を知ることも大切です。講師が視察したプラスチック国際博覧会(ドイツ K2022、日本 IPF2023)の成形品サンプルや動画を元に技術トレンドについてもお話しします。

習得可能知識

① 射出成形金型の知識
② 射出成形加工の知識
③ 樹脂(プラスチック)の知識
④ 樹脂部品設計の盲点と解決手順
⑤ 技術トレンド(成形品サンプル展示、動画)

受講対象者

○樹脂部品の設計、開発などに携わっている技術者
○プラスチックに関する基礎を学びたいと考えている方
○新入社員の方、異動や転職などで新たにプラスチックの知識が必要となられた方
○プラスチック業務に就いているが、改めて体系的に学びなおしたい方
○プラスチックの知識を必要とする資材・購買、成形加工、組立製造、品質保証・品質管理、受入検査、研究・開発、販売・営業などの方

※本セミナーを受講される方には、講師の著書『新人製品設計者と学ぶ プラスチック金型の基礎』(日刊工業新聞社)を、セミナー当日進呈します。

 

概要

日時 2024年 9月 13日(金)10:00~17:00
(9:30 受付開始 休憩12:30~13:30)
会場 日刊工業新聞社 東京本社 セミナールーム
※会場には受講者用の駐車場が有りません。必ず最寄りの公共交通機関でご来場ください。
※当日の録音・録画は固くおことわり申し上げます。
受講料 お一人様:48,400円(資料含む、消費税込)

受講にあたり
開催決定後、受講票並び請求書を郵送またはメール(PDFファイル)にてお送り致します。
申込者が最少催行人数に達していない講座の場合、開催を見送りとさせて頂くことがございます。(担当者より一週間前を目途にご連絡致します。)
受講料
振込手数料は貴社でご負担願います。
キャンセルについて
開催日1週間前までの受付とさせて頂きます。1週間前までにご連絡がない場合はご欠席の方もキャンセル料として受講料全額を頂きます。
主催 日刊工業新聞社
問合せ先 日刊工業新聞社
総合事業局セミナー事業部
TEL: 03-5644-7222
FAX: 03-5644-7215
E-mail : j-seminar@media.nikkan.co.jp
TEL受付時間:平日(土・日・祝日除く) 9:30-17:30
FAX申込みについて

講師

伊藤 英樹 氏

会場アクセス

日刊工業新聞社 東京本社
セミナールーム
中央区日本橋小網町14ー1
住生日本橋小網町ビル
セミナー会場案内図

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プログラム

第1章 プラスチックの基礎知識
1.金型
1)金型構造
①コールドランナー金型(2プレート/3プレート)
②ホットランナー金型
③モールドベースと金型製作
2)金型機能
①流す(スプルー、ランナー、ゲート、キャビティ)
②形を作る(アンダーカット形状と金型方案、傾斜コア、スライドコア、無理抜き)
③固める(金型温調、冷却設計)
④取り出す(エジェクターピン/プレート突き出し、離型時の留意点)
⑤エアー排出(エアーベント、排出不足による成形不良)
2.射出成形
1)成形機の構造(射出装置、型締装置)
2)成形機の機能(平均樹脂圧力、投影面積、型開力、型締力)
3)成形サイクル(サイクルタイム、成形品仕様と冷却時間)
4)保圧(ゲートシール、成形条件と不良)
5)成形不良(バリ、ひけ、変形、銀条、ウェルドライン、焼け、フローマーク、
ジェッティング)
※成形不良サンプルを展示します。手に取って触れて観察できます
3.樹脂
1)樹脂とは(プラスチック、高分子化合物、合成樹脂/天然樹脂)
2)熱への反応の違い(熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂)
3)熱可塑性樹脂の特性(結晶性樹脂・非結晶性樹脂、成形収縮率と金型寸法)
4)樹脂特性(物理的、機械的、熱的、電気的、化学的、成形加工的)
5)樹脂種類(汎用性プラ、エンプラ、熱硬化性、エラストマー、生分解性プラ)
第2章 不具合事例
事例1 「組み込みできない!」
【発端】部品設計も金型打合も十分に行い金型製作した。できた成形品同士が組
み合わない。良く見ると元の設計にはなかった形状ができている。なぜ?
      Keyword:金型打合、突き出し、形状変更、部品干渉
事例2 「成形で形状ができない!」
【発端】部品図面通りに金型設計をし、金型を彫り込んでいるにもかかわらず、
彫込み形状部へ樹脂が流れて行かず、形状欠け不良となってしまう。なぜ?
      Keyword:形状欠け、ヘジテーション、成形条件、設計要因
事例3 「抜去力が弱すぎる!」
【発端】部品のフック形状が組み込み強度を決める。量産金型で強度不足が判明。
試行錯誤している時間がない中で金型変更して切り抜けた。どんな解決策?
      Keyword:抜去力、アンダーカット、試作と量産、思考実験
事例4 「ひけ発生!」
【発端】金型は真っ平らに彫り込んでいるのに、成形品表面にわずかな凹み形状
となったものが「ひけ」である。ひけ要因を知り適切に対処するには?
      Keyword:ひけ、樹脂収縮、形状設計、保圧
事例5 「滑らかに動かない!」
【発端】摺動機構は「滑らか」な駆動が求められる。一見すると簡単な構造であ
っても、勘所を無視した設計をするとしっぺ返しを喰らう! どんな解決策?
      Keyword:パーティングライン、金型分割面、穴品質、ばり性状、
事例6 「樹脂選択と設計不良!」
【発端】樹脂選択は重要な設計行為である。寸法等の設計ミスに比べると、樹脂
選択ミスは取り返しのつかない致命不良となる。樹脂選択時の留意点は?
      Keyword:コストダウン、樹脂調色、添加剤、量産速度
事例7 「型から剥がれない!」
【発端】試作金型で基本検証した設計を水平展開した。するとある部品で金型に
貼り付いて生産ストップする事態となった! どんな解決策?
      Keyword:抜き勾配、キャビ取られ、シボと形成法、ショートショット法
事例8 「それって本当にそり不良!?」
【発端】成形後に必ず変形は発生する。製品仕様に影響しない変形の許容寸法を
図面で示したい。変形箇所と測定方法が適切でないとトラブルの元ともなる!
      Keyword:そり定義、測定と検査、変形要因、図面指示
事例9 「穴はないのにウェルドライン!」
【発端】発生要因である「穴」「複数ゲート」もない成形品でウェルドラインが
発生する場合がある。メカニズムは? どんな解決策?
      Keyword:ウェルドライン、樹脂合流、樹脂流速、接合構造と機械強度
事例10 「折れたピンはどこへ消えた!」
【発端】成形時に金型内の細いピンが折れた。折れたピンを交換すれば済む話で
はない。破片は金型を傷つけ重大事故となる! 設計が原因となる場合とは?
      Keyword:ゲート、ねじボス、コアピン、二次事故
第3章 技術トレンド & 成形不良サンプル
1)技術トレンド
3年に1度開催されるK(ドイツ デュッセルドルフ 2022)およびIPF
(日本 幕張メッセ 2023)を視察した話をいたします。
入手した成形サンプルも展示しますので、手に取って触れてご覧ください。
2)成形不良サンプル
不良現象を直接見て触れて確認する良い機会となります。

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