セミナー

精度とコストを両立させる
事例で学ぶ幾何公差設計法
~幾何公差解析から公差値設定までのポイントを学ぶ~

開催主旨

 いくら高精度な加工機を使用しても部品の製造過程で必ず「ばらつき」が生じます。公差は、ばらつきある部品同士を組み立てたとき、どんな組み合わせでも互換性を保証できるよう設計時に設定される許容値を言います。公差は公差解析で予想したばらつきをもとに設定されます。幾何公差による解析では、部品の位置・姿勢・形状を正しく把握し、それらを計算に盛り込んで組立後のばらつきを予測します。計算の仕方は複数ありますが、本セミナーで取り上げる「不完全互換法」では公差を比較的緩く設定できるため精度とコストをバランスしやすい方法です。

 公差設定のポイントは、設計者がどのくらいの「精度」を要求するのかということです。いたずらに精度を追求してもコスト増となり、商品コンセプトから外れてしまいます。従って、設計の際は、部品精度に寄与するさまざまな因子に着目し、少ないコストで必要な精度が得られるように配慮します。具体的には、部品を組付けた際に、部品がとりうる自由度を「位置(並進)」と「姿勢(回転)」の2成分に分解、それぞれの比率(分散比)を設定しそれを公差値に反映します。分散比は、形状・材質・加工法・加工機などの因子を考慮しながら決定します。精度を確保しやすい形状に設計する視点も重要ですし、部品を作るための各種加工法の原理を知り、加工費と必要精度から逆算して、より最適な加工法を選び取る必要もあります。

 昨今のものづくりはグローバル化が進み、曖昧さを残した図面は通用しません。曖昧さを解消するため現在、幾何公差に関わる規格改訂も進んでいます。本セミナーでは、いかに世界に通用する図面とするか、そのうえで精度とコストの最適なバランスを取るにはどうすべきか、実務に活かせる幾何公差設計法の基礎を学びます。実際の製造現場で加工機を使ってどのように形状が作られているか、実際のデモ映像を見ながら加工方法とコストとの関係を理解していきます。

受講対象者

設計部門を中心とする製造業の技術者

習得可能知識

1.自身が設定した公差設定値の根拠が説明できるようになる
2.統計学を用いた公差設計手法の仕組みがわかる
3.幾何公差特有の分散比の設定方法が身につく
4.加工方法の選択がコストにどのように影響する理屈がわかる

持ち物

関数電卓をご用意ください。

概要

日時 2025年 12月 18日(木)10:00~17:00
(9:30 受付開始 休憩12:30~13:30)
会場 日刊工業新聞社 東京本社 セミナールーム
※会場には受講者用の駐車場が有りません。必ず最寄りの公共交通機関でご来場ください。
※当日の録音・録画は固くおことわり申し上げます。
受講料

お一人様:46,200円(資料含む、消費税込)

受講にあたり
開催決定後、受講票並び請求書をメール(PDFファイル)にてお送り致します。
申込者が最少催行人数に達していない講座の場合、開催を見送りとさせて頂くことがございます。(担当者より一週間前を目途にご連絡致します。)
受講料
振込手数料は貴社でご負担願います。
キャンセルについて
開催日1週間前までの受付とさせて頂きます。1週間前までにご連絡がない場合はご欠席の方もキャンセル料として受講料全額を頂きます。

主催 日刊工業新聞社
問い合わせ先 日刊工業新聞社
総合事業本部 事業推進部(セミナー係)
TEL: 03-5644-7222
FAX: 03-5644-7215
E-mail : j-seminar@media.nikkan.co.jp
TEL受付時間:平日(土・日・祝日除く) 9:30-17:30
FAX申込みについて

講師

益田 憲明 (ますだ けんめい)氏

会場アクセス

日刊工業新聞社 東京本社
セミナールーム
中央区日本橋小網町14ー1
住生日本橋小網町ビル
セミナー会場案内図

プログラム

1.事例で学ぶ幾何公差設計法 
 ・幾何公差設計法を利用した開発プロセスの課題解決
 ・VTRの小型・軽量化への公差設計の適用事例
2. 精度とコストを両立する公差設計   
 ・製品開発で生ずる様々な課題-精度とコストの両立
 ・幾何公差設計法(GD&T)を組み入れた設計プロセスの全体像
 ・公差設計に必要な知識と対応規格(JIS)
 ・材料,加工法,計測法,標準部品を利用する際の留意点
3. 公差設計に必要な統計学の知識と活用法
 ・なぜものづくりに統計学が必要なのか
 ・公差設計における3σ管理と工程能力指数 (Cp, Cpk)と不適合率の求め方
 ・工程能力指数 (Cp, Cpk)による自社の設計・製造能力の把握
 ・演習問題:部品製作における品質・コスト評価
4. 幾何公差解析の基礎-サイズ公差との違いと計算法
 ・サイズ公差と幾何公差の使い分け
 ・幾何公差包含のルール(形状・姿勢・位置)
 ・そもそも精度が出やすい形状設計と幾何公差の設定
 ・幾何公差解析法の概要と用語~JIS化状況とJIS B 0625の中身
 ・幾何公差のメリットを知って精度とコスト両立を図る
5.  高精度と低コストの両立を図る幾何公差解析の考察
 ・組立品の累積公差の計算法(1次元,2次元,3次元)
 ・完全互換性と不完全互換性の方法による計算法とそれぞれに期待される効果
 ・解析結果を図面に的確に反映する幾何公差表記法
 ・演習問題(組立て装置における不完全互換性の方法)
6.  加工法ごとの精度の違いを考慮した幾何公差解析法
 ・各種加工法の加工特性を幾何公差解析へ反映する(エンドミル加工、板金曲げ、パンチ穴加工、ドリル穴加工)
 ・演習問題:精度とコストを両立する形状設計と幾何公差設定
7.  部品の計測法と計測上の留意点
 ・幾何公差の各形体の計測に適した計測法と計測機器
 ・部品の精度管理に必要な計測データベースと活用法
 ・演習問題:幾何公差CZ指定における計測法と精度評価

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