顕彰事業

(2020年)
第50回 機械工業デザイン賞IDEA 入賞

工業製品機械デザイン

多目的造林機械 山もっとジョージ (キャニコム)

 伐根粉砕から作業道整備まで1台で多目的に行う造林機械。伐根用の刃は形状と並びを工夫する事でスムーズかつ効率的な作業を実現した。山中の急傾斜・凹凸でも安心、安定走行ができるように足回りや操作性を追求した。ボンネット部は先端を下げて視認性を向上。車体カバーは木や枝に引っかかりにくい球面形状でまとめた。

開発者コメント

世界初商品開発line 統括 取締役 専務経営役員 中村 公徳

1. 開発の発端となった最も重要な課題はどのようなことでしょうか。
 日本の森林は伐採時期を迎え伐採が進んでいるが、伐採後に必要な再造林の作業は、ほとんどが人力で、特に、夏場の下刈り作業は、重労働で危険であり、若年従事者が参入・定着しない要因となっている。従事者数が減少する中、造林行程の機械化を進め、安全・安心な職場環境を整えて若年従事者の参入・定着を促し森林を持続する必要がある。

2. 課題解決までのご苦労と、ブレークスルーのポイントをお教えください。
 従来の草刈機でテストしたところ、伐採後の切株(伐根)が障害となり作業が進まないばかりか、無理をして草刈機を壊してしまった。そこで通常は下刈り作業を行いながら、作業の支障となる伐根があったらそのまま削るという発想に至った。植栽済みの林地に入るサイズにするため伐根を薄く削ることでコンパクトな機械にすることができた。又、林地の凹凸や残材上を安心して走行できるように、スパイク付きクローラを開発した。

3. 技術者として、ユーザーに向けたメッセージをお願いします。
 「山では草刈機は使えないよね。」と言うお客様のボヤキからスタートした「山もっとジョージ」の開発ですが、多くのお客様から色々な事を教えて頂きながら、傾斜30度までの林地で下刈り等の造林作業が可能な製品とすることができました。更なる造林作業の機械化にも取り組んでおります。今後も、お客様と向き合いボヤキを伺いながら商品開発を行ってまいります。

日刊工業新聞社関連サイト・サービス